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「中国の在宅ケアは遅れている」は大間違い!? 13万人を支える中国最強の在宅医療インフラ企業の実態とは

■JUN’s letter

「中国の在宅ケアは遅れている」という誤解


中国の在宅医療・介護は日本より遅れている。そう思っているなら、その認識は一度疑った方がいいかもしれません。

今回視察した中国の在宅ケア企業「托理健康(Fulfill Homecare)」は、単なる訪問介護事業会社の枠を超え、「退院後の患者と家族の生活」を全国規模で支える最強のサービスインフラ企業でした。 介護保険の利用者約3万人だけでなく、70社以上の民間保険会社と連携し、約10万人の民間保険利用者を抱えています。全国716都市で24時間のサービスを提供し、総サービス回数は1,000万回を超えます。日本に比肩するプレイヤーは存在しません。

共同創業者の王宜萍先生の言葉が非常に印象的でした。 「専門性を基盤に、サービスを核心に、技術を支えに」 彼らの取り組みは、この言葉を見事に体現していました。
医師の役割は「診る」から「仕組みを設計する」へ

まず「専門性」です。彼らが提供しているのは単なる家事援助ではなく、退院後の生活再建や再入院予防を目的とした専門的な在宅ケアです。 現場を支える4,000人超のチームは、介護職よりも看護師や理学療法士などの医療専門職が主力です。そして何より驚いたのは「医師」の位置づけです。
日本の在宅医療は医師が前線で患者を診るモデルですが、同社における340人の医師は、全件を直接診るプレイヤーというより、標準化、教育、品質管理、プロトコル作成などを担っています。医師が「個別患者を診る人」であると同時に、「多職種が安全に動ける仕組みを設計する人」として機能しているのです。医師を増やし続けなければ成長できない日本の現状モデルに対し、非常に示唆に富むアプローチです。

退院後の生活を支える仕組みを「総体」として運営


次に「サービス」です。彼らは「退院後に訪問する会社」ではなく、病気の発症から退院後の生活再建までのプロセス全体をひとつのサービス商品として設計しています。 日本では制度や職種の単位(訪問診療、訪問看護、ケアマネなど)で考えてしまいがちですが、患者や家族が本当に困っているのは「どの職種が何をするか」ではなく「退院後の生活全体を誰がどう支えてくれるのか」です。同社はさらに保険会社と保険商品を共同開発し、退院後のリスクを社会課題として正面から解決しようとしています。


AIや技術はあくまで「サービスのための道具」


さらに「技術」の位置づけです。同社はシステムエンジニアを抱え、全国の医師、看護師、介護員などのサービス資源を管理する独自プラットフォームをもっています。需要に対して「誰を、どこに、いつ派遣するか」をAIを用いて24時間以内に自動マッチングし、現在その達成率は90%以上だといいます。

しかし、彼らはIT企業になろうとしているわけではありません。システムはあくまでサービスのためのツール。患者の課題があり、専門職がいて、それを支えるために技術がある。この優先順位がブレていない点が極めて重要です。テクノロジーを入れること自体をDXだと勘違いしがちなわたしたちにとって、大きな学びです。

日本の在宅医療が学ぶべき姿勢

日本の在宅医療・介護には、世界に誇れる多職種連携や地域包括ケアの蓄積があります。しかし一方で、わたしたちは制度の枠に最適化しすぎ、職種の境界に閉じこもりすぎてはいないでしょうか。診療報酬・介護報酬の範囲内でしかサービスを発想できなくなってはいないでしょうか。

これからの在宅医療・介護に求められるのは、サービス提供そのものを目的化するのではなく、「どうすれば患者と家族の『真のニーズ』に対して解決策を提案できるのか」をじっくりと考え、仕組みをつくり上げることです。


30年のアドバンテージがある日本が、前例にとらわれずその知見を活かすことができれば、10年後には社会に新しい信頼できる選択肢を提示できるはずです。日本の在宅医療・介護も、まだまだ進化しなければなりません。

 

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