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「利益を出して何が悪い」は通用しない!? ホスピス型住宅の過剰請求問題と、医療介護事業者が果たすべき“信託”の実態とは
■JUN’sletter
答えのない連立方程式と厚労省の舵取り
「現役世代の負担を軽減せよ」「診療報酬を増やせ」「患者負担は増やすな」「最高の医療提供体制は確保しろ」。 医療を巡る議論は、何をやっても誰かが怒る、答えのない連立方程式のようです。厚生労働省は精緻なデータに基づき、絞り過ぎれば新技術の恩恵を受けられず、開き過ぎれば財政負担や過剰診療を招くという難しいバランスの中で、医療機関の行動変容を促すためのルールを設計しています。
ホスピス型住宅における新たな「抜け穴」と主治医への圧力
先日、公明党の秋野公造先生らとともに、ホスピス型住宅の課題について厚労省とディスカッションを行いました。 ホスピス型住宅併設の訪問看護に「包括型(定額報酬)」が導入されましたが、例外として「緊急訪問看護加算」という出来高部分が残されました。これに目をつけ、「加算をできるだけたくさん取りに行く」と意向表明する事業者が少なくありません。
厚労省は「緊急の判断は事業者がする」というような事前包括指示を禁止しましたが、実態が本当に緊急だったかは現場にしかわからず、結局は経営者の良心に委ねられています。 恐ろしいのは主治医への圧力です。主治医が「緊急ではない」と判断すれば、事業者の指示に盲目的に従う医師へ主治医が変更される事態が起こり得ます。一方で在宅医側も、診療報酬改定で「重症患者の割合」という厳しい要件が課されたため、重症者が集まるホスピス型住宅との「取引」が魅力的に見えてしまうという構造的な歪みも生じています。
「利益を出して何が悪い」への違和感
医療介護福祉事業の経営者の中には、「利益を出して何が悪い」というスタンスの方がいます。もちろん持続的な経営と成長に利益は不可欠です。しかし、医療・介護の収入源の約8割は、保険料と税金という公金です。
「道路工事だって公金が入っている」という意見もありますが、ゼネコンは与えられた予算と設計図通りに仕事をするだけです。一方、医療や介護は「患者のニーズ」や「地域のニーズ」に対し、現場の専門職の判断で応えることが許されています。 だからこそ、わたしたちには、行政や住民からのその「信託」に応える重い義務があるのです。
業界の自浄作用が未来を守る
制度の趣旨とは異なる運用を「違法ではないから」と繰り返す事業者が目立てば、行政は当然ルールを厳格化し、手続きを煩雑にし、診療報酬を引き下げます。結果として、真面目に理想のケアを追求している事業者の仕事を増やし、首を絞めることになります。
今月から、訪問看護の実態がデータ(NDB)で容易に捕捉できるようになり、異常な算定率を出す事業者には監督当局の介入が期待されます。わたしたち医療・介護事業者は、目先の利益や制度ハックに走るのではなく、公共事業を担う者としての自浄作用を発揮し、社会に対する説明責任をしっかりと果たしていかなければなりません。
