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「事前処方があれば安心」の大誤解!? 在宅緩和ケアにおける「24時間薬剤アクセス」の深刻な実態と、患者を守るための新たな提言

■JUN’s letter

事前処方」で本当に十分なのか?

在宅緩和ケアにおける薬剤供給の課題は、しばしば「24時間対応できる薬局が少ない」という話に矮小化されがちです。 主治医には予測される症状変化に備えた「事前処方」を行う責任があり、現場でも緊急時の対応を減らすための努力が続けられています。

しかし、夜間や休日の薬剤ニーズは決してゼロにはなりません。誤嚥性肺炎、急性心不全、帯状疱疹、そして急激な疼痛増悪など、患者さんの状態変化は必ずしも予測どおりには進まないからです。 すべてを想定して薬剤を準備しようとすれば、膨大な種類が必要になり、廃棄やコスト、保険適応の問題が生じ、現実的には限界があります。


善意に依存する24時間体制と、救急搬送のリアル


事前準備を尽くしたうえで発生するニーズに、地域は応えられるのでしょうか。 現在、多くの地域では24時間の薬剤アクセスが一部の在宅特化薬局や大手チェーン薬局の「善意」に依存しています。制度上の薬局間連携も、実際に機能している地域はごくわずかです。

一方で、高齢者の救急搬送は急増しています。しかし、その55%は軽症であり、適切な在宅診断と「薬剤アクセス」さえあれば回避できる可能性があるのです。薬剤師に問われているのは、調剤の正確性だけではありません。予測できない変化を前提とする在宅医療において、地域の薬剤供給を誰が支えるのかという重い問いが突きつけられています。


インフラとしての薬局の評価と「緊急避難パスウェイ」


先日、日本緩和医療薬学会での特別講演に登壇し、在宅医療における社会システムとしての課題を中心にお話しさせていただきました。 在宅医療における医学的介入の大部分は「薬物療法」です。だからこそ、24時間の薬剤アクセスには地域のインフラとしてのバックボーンが必要です。それは人員配置などのストラクチャーだけでなく、アウトカムで評価し、診療報酬上の差別化を強化していくべき領域です。

同時に、薬剤師・薬局だけに依存しない「薬剤アクセスの緊急避難パスウェイ」についても検討すべきです。医師と看護師はタスクシフトで相互の役割を共有し合えますが、現状「薬剤へのアクセス」は薬剤師の専権業務であり、地域の薬局に大きく依存する構造になっています。


既得権益を守り合う不毛な議論を終わりに


ようやく訪問看護ステーションへの輸液の配備が認められましたが、大切なのは「患者さんの不利益を最小化するための最適な妥協点はどこなのか」を探ることです。

それぞれの職能団体が既得権益を守り合うだけの不毛な議論は、もう終わりにすべき時期に来ています。患者さんが必要な時に必要な薬にアクセスでき、安心して自宅で過ごせる仕組みづくりに向けて、わたしたちは声を上げ、行動し続けなければなりません。

 

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