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「在宅ケアだけで最期まで自宅で過ごせる」という幻想の実態とは!? 日本の「ポイントケア」の限界と、世界に学ぶ新たな選択

■JUN’s letter

 

ムンバイで見た「アテンディングケア」の力

 

先日、インド・ムンバイの在宅ケアの現場を視察してきました。わたしたちが現地で展開する在宅ケアは、日本のような「ポイントケア(特定の処置やケアを目的に短時間訪問する形式)」ではなく、「アテンディングケア(長時間同伴型ケア)」です。基本12時間、専門職が患者さんの生活に同席し、包括的にケアを行います。


家族は日中仕事に出かけても、プロにケアを委ねることで自分たちの生活を継続しつつ、「家族として」患者さんにかかわることができます。
制度がないインドだからこそ、利用者や家族の「真のニーズ」に柔軟に応えた結果として生まれた形です。

 


「ポイントケア」で本当に自宅で暮らし続けられるのか

 

日本の制度下でも、「短時間の訪問看護や介護をうまく組み合わせれば、十分に対応できる」という意見があります。
確かに独居や老々介護でも最期まで自宅で過ごせる方はいます。
しかし現実には、要介護4以上になると過半数が、要介護2でも30%以上が自宅での生活を継続できずに施設で暮らしています。


本当にポイントケアだけで安心して暮らし続けられるなら、なぜ毎月何十万円もの高い費用を払ってまで、多くの方が施設(アテンディングケアの代替)へ移るのでしょうか。

 


限界を迎えている「家族の介護力」への依存

 

日本の介護保険制度は、メニューや運用実態を見ても、あくまで「家族介護の補助」という位置づけです。
ポイントケアだけでは支えきれない時間を、ご家族が肉体的・精神的、そして社会的な負担(仕事への制約や収入減など)を背負ってカバーしているのが現実です。
急性期を自宅で治療することも医療的には可能ですが、離れて暮らす家族も含めて「安心して」治療を受けられる環境をつくるのは容易ではありません。

 

 

制度に最適化するのではなく、制度を最適化する

 

「日本の制度はこうだから、この枠の中でケアを組み立てるしかない」。多くの専門職や事業者がそう考えています。
しかし、その前提には「家族の介護力」への依存と、「本人の生活の制限」が隠れています。
もし施設に毎月20〜30万円を支払う能力があるのなら、その費用を在宅でのアテンディングケアに充てることはできないのでしょうか。


ドイツのように家族介護者に報酬を支払い労働者として保護する制度や、台湾・シンガポールなどのように外国人ドメスティックヘルパーを活用する仕組みなど、世界には家族の負担を軽減する多様なアプローチがあります。


病気の人も、高齢者も、ケアを受けるために生きているわけではありません。家族もケアをするために生きているわけではありません。
その人が選択した人生を生きるための道具として「ケア」があるはずです。
制度の中で思考停止するのではなく、制度そのものを最適化するために、現場を預かる私たちが声を上げていく必要があります。

 


日本のシステムは「成功モデル」なのか

 

来年(2027年)、私が大会長を務める日本在宅医療連合学会大会では、国際大会「World Home Healthcare Congress2027」を併催します。
世界最高水準の高齢化率と公的保険をもつ日本は、果たして本当に「成功モデル」と言えるのか。
世界のキープレイヤーや政策決定者と最先端の取り組みを共有し、あるべき未来の姿を皆さんと議論したいと考えています。

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