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「筋肉が少ない」だけで死亡リスク増!? 高齢者を襲うフレイルの真実と、病院経営を救う「入院料引き上げ」の行方
■JUN’s letter
1. 筋肉減少(サルコペニア)は「命の危険信号」
国立長寿医療研究センターの研究により、年齢・性別・身長・体重などから推定される「筋量が低い高齢者」は、短期的な死亡リスクやフレイル(虚弱)の悪化リスクが高いことが示されました。これは、筋肉量の維持が単なる身体機能の問題にとどまらず、高齢者の生命予後そのものを左右する重要なバイタルサインであることを裏付けています。
在宅医療の現場でも、低栄養やサルコペニア(筋肉減少症)が誤嚥性肺炎や骨折のリスクを高め、結果として入院や死亡につながるケースが多くみられます。今回の研究結果は、日々の診療における「栄養管理」や「リハビリテーション」といった介入が、高齢者の命を守るために極めて重要であることを改めて科学的に証明したと言えるでしょう。
2. 物価高騰に対応する「入院料引き上げ」
一方、医療提供体制を維持するための議論も進んでいます。 1月15日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会では、昨今の急激な物価・人件費の高騰に対応するため、病院の機能別に「入院料の引き上げ」を行う方向性が示されました。
多くの病院、特に自治体病院や大規模急性期病院では、光熱費や資材費の高騰に加え、医療従事者の賃上げ原資の確保が急務となっており、経営は「自転車操業」とも言える危機的な状況にあります。今回の議論では、一律の対応ではなく、病院の機能に応じたメリハリのある引き上げを行うことで、過不足のない支援を目指す方針です。
3. 「守る医療」と「支える経営」の両立
高齢者の筋肉を守る「予防・ケア」の視点と、医療機関の経営を守る「報酬改定」の視点。 2026年度に向けて動き出したこれらの議論は、どちらも超高齢社会の医療を持続させるための車の両輪です。わたしたちは、制度の変化を注視しつつ、目の前の患者さんの「筋肉」と「栄養」を守る取り組みを、明日からでも強化していく必要があります。
