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「生命・生活・人生」に伴走する家庭医―「WE CARE YOUR LIFE」が紡ぐ、家族との信頼/田中 顕道(くらしケアクリニック城東、院長)
■在宅医療の究み
私が院長を務める江東区亀戸の「くらしケアクリニック城東」は、家庭医療専門医(※)を中心に多職種が連携し、小児から高齢者まで臓器横断的かつシームレスに診るプライマリケア診療所です。わたしたちが掲げる診療テーマは「WE CARE YOUR LIFE」。この“LIFE”には、「生命・生活・人生」の3つの意味を込めています。
日々の診療の中で、この理念を深く実感した出来事があります。他院でがん治療を終え、ご紹介いただいた50代の男性です。前医からは訪問診療への切り替えを勧められていましたが、ご本人は「まだ土俵に立ち続けたい」、つまり「歩ける間は自分の足で通院を継続したい」という強いご希望をおもちでした。わたしたちはその想いを最大限尊重し、外来での緩和ケアからサポートをスタートしました。
息苦しさが増す中でも、彼は趣味のギターやご友人との時間を楽しみ、ご自身の人生でやりたいことを一つずつ叶えていかれました。その後、症状の急変により当院からの緊急訪問診療へと切り替え、最終的にはご家族の負担も考慮して緩和ケア病棟へ移られましたが、直前に「人生でやりたいことはすべてできた。思い残すことはない」と語り、穏やかに息を引き取られました。
それから約1年。ご逝去後も、奥様やご長男は風邪や健診などで当院へ通ってくださいます。先日は、ご長男から「父と同じ理学療法士の試験に合格した」という大変うれしいご報告も受けました。
患者さんの「生命」を診るだけでなく、「生活」を支え、「人生」の価値観に寄り添うこと。そしてお別れの後も、残されたご家族の歴史に伴走し続けること。地域活動を通じた交流も含め、こうした日々の「かかわり」の積み重ねこそ、信頼構築の要なのだと確信しています。
(※)家庭医(家庭医療) 家庭医療学の祖 イアン・マクウィニー医師が提唱した「病気だけではなく『人』に寄り添う」という原則に基づき、 、日常からの信頼関係を礎に、心・身体・生活背景まで「その人丸ごと」を地域で支える医療のこと。
田中 顕道(くらしケアクリニック城東、院長)