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「優しいだけの藪医者はいらない」!? 脳外科から転身した熊谷先生が語る、真の「ケア」の実態とは!/熊谷 祐紀(悠翔会ホームケアクリニック知多武豊 、常勤医師・前院長)

■となりのゆうとくん

悠翔会の個性豊かなメンバーをご紹介する「となりのゆうとくん」。今回は、脳神経外科医としての高度な専門性と、総合診療医としての全人的な視点を併せ持ち、「総合診療をインフラにする」というミッションを掲げる熊谷医師にインタビューしました。


熊谷 祐紀(悠翔会ホームケアクリニック知多武豊 、常勤医師・前院長)

 

脳外科と総合診療、二つの専門性で「人全体」を診る
熊谷医師は、元々は脳神経外科医としてキャリアを積んできました。しかし、「臓器だけではなく、人全体を診たい」という強い想いを抱き、総合診療の道へ進むことを決意します。
「病院で教わるのは病気を治す『キュア』ですが、わたしたちが在宅でやっているのは『ケア』です」と熊谷医師は語ります。 例えば、脳出血の後遺症で失語状態になった患者さんに対し、「言葉は出るようになりません」と医学的事実を突きつけるだけでは意味がありません。最初は外に一歩も出られなかった患者さんが、ご夫婦で外食できるようになったという「できるようになったこと」に目を向け、患者さん自身の強み(レジリエンス)に気づいてもらう。そして、患者さん本人だけでなく、家族の背景まで深く理解することこそが、真の「ケア」なのだと言います。



「医学的に最強であれ。優しい藪医者はいらない」
「医学的に最強であれ。優しい藪医者はいらない」。これは、熊谷医師が若い医師に常に伝えている言葉です。
総合診療医が大切にする「BPSモデル」において、Biological(生物学的)な側面、つまり医学的マネジメントが十分にでき、そのうえで心理・社会的要因を考慮することが求められます。そのため、協働する訪問看護師にも厳格なアセスメントを求めます。家族にもできる単なる状況報告ではなく、看護師のプロとしてのアセスメントを求める。医師が一方的に方針を決めるのではなく、違うプロフェッショナルを持つ仲間として、日頃から熱く議論を交わし、チームとしての医療を高めています。


「医師の担当は多職種協働と診療のみ」徹底した効率化
熊谷医師のチームが担当する患者さんは、難病やがん末期の方など重症度が高く、新規患者の約半数が病院からの紹介です。それにもかかわらず、「スタッフ全員が17時半には帰る」という驚きの働き方を実現しています。
それを支えているのは、徹底した効率化と役割分担です。物品管理にはトヨタ自動車の「カイゼン」の手法を取り入れ、種類を絞って管理コストを削減。診療後のカルテ入力やICTチャットツール(MCS)での情報共有は、その場ですぐに完了させます。「医師が担当するのは多職種協働と診療のみ」という役割分担を徹底し、医学的に本当に必要なことだけに注力できる環境を整えています。また、「都心部では難しいかもしれないのですが」としながらも、安易な往診は「医療資源の使い方としては救急搬送と変わらない」と考え、訪問看護師のアセスメントに基づき、医師による往診が必要だと判断されたときに限っています。


顔の見える関係=「名前を知っていること」
多職種連携において熊谷医師が重視しているのは「明瞭度をもってコミュニケーションをとっているか」ということ。「○○施設の担当者」ではなく、「○○施設の○○さん」と個人の名前で呼べる関係性を大切にしています。 朝礼での情報共有を何よりも優先し、チーム全体でミッションや価値観をすり合わせることで、一体感のある強固な診療体制を築き上げています。

「総合診療をインフラにする」。その大きなミッションに向かって、熊谷医師のブレない挑戦はこれからも続きます。

 

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