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「点滴待ちで半日」がなくなる!? 訪問看護の輸液配備解禁と、残された「薬の壁」
■在宅医療ペディア■
悲願の「輸液配備」がついに解禁
訪問看護ステーションに輸液が配備できるようになりました。年末に厚生労働省から通知が発出されたのです。 これまでは、在宅で点滴が必要になると、訪問看護師さんがわざわざ医療機関まで輸液を取りに来なければならない地域がたくさんありました。中には片道1時間以上かかるケースもあり、点滴が必要なのに半日以上待たされたり、週末で対応できず結局救急搬送されてしまったりする悔しい事例が、昨年の規制改革推進会議でも明らかになっていました。
今回の改正で、訪問看護ステーションが卸から医薬品(輸液)を購入・在庫できるようになります。これで看護師さんも、そして何より患者さんの負担が少し楽になります。

薬剤師会との議論で厚かった「リスクの壁」
しかし、課題は残されています。本当は、使用頻度の高い解熱鎮痛剤や外用薬などもステーションに配置できるようにすべきだと考え、日本薬剤師会とも議論を重ねてきました。 全国には24時間の在宅医療機関がない地域や、休日夜間に薬局が対応できない地域がまだまだあります。そうした地域での緊急時の薬剤アクセスを改善するためです。
しかし、たとえアセトアミノフェンのような頻用薬であっても、医師の指示に基づく投薬であっても、「看護師によるピッキングはリスクが高い」として、輸液以外の薬剤配備は認められませんでした。
病院では当たり前のことが、なぜ在宅では?
「そんなことを言うなら24時間対応してくれ」と言いたくもなりますが、薬剤師不足の地域ではそれも難しいのが現実です。 論理的に破綻していると感じるのは、「病棟のストック薬は看護師がピッキングしているではないか」という点です。病院は医療機関の中だから大丈夫で、在宅はダメというのは説得力がありません。
議論の中で、「本当に急に解熱剤が必要なら、家族がやっている薬局を探して市販のロキソニンを買ってくればいい」という暴言(議事録からは削除済)があったことも忘れられません。
それでも、大きな「一歩前進」
理不尽な壁は残りましたが、まずは輸液が配備できるようになったことだけでも大きな一歩前進です。 現場の実情に応じて、在宅での対応可能範囲を少しずつ強化していくしかありません。今回の調査にご協力くださった日本訪問看護財団はじめ全国の皆様に感謝しつつ、引き続き「薬の壁」に挑み続けたいと思います。